JGA2004年改正規則

 法律の解釈や、実際に起きた事例への適用をめぐっては、裁判という制度で解決していますが、スポーツの場合は審判の権限を強化して即時に判断をするのが一般的です。しかし、ゴルフという競技は審判員はいますが、すべてのプレーに立ち会うことはせず、「プレーヤー自身が規則を十分に知っていること」そして「自らを厳しく律すること」を前提にして競技が進められます。これが「紳士・淑女のスポーツ」といわれる由縁です。

 ルールの解釈をめぐっては実際の競技において予測していない様々の場面に遭遇します。規則そのものは具体的な場面でどのように適用するかは、審判員・同伴競技者に求められますが、プレーヤーの判断に求められている場合には他の競技者に有利に解釈するのがルールです。すなわち判断に迷う場合には自分に不利な方を選ぶということです。

 ゴルフの規則は4年毎に見直しを行うことが慣例となっています。2004年では用語の定義を中心に、規則を読み易く、解りやすくするために最大の配慮をしたのが特色で、基本的な変更はありません。

 今回の改正は項目が50ほどあります。どのように変わったのかを少しだけ例示します。

用語の定義7 インプレーの球(ストロークプレーの場合)

1ホールのスタートで、ティインググラウンドの外からプレーした場合、競技者は、2打の罰を加えた上ティインググラウンド内から改めて球をプレーしなければならない。

競技者が誤りを訂正しないで次のティインググラウンドからストロークをしたときは(ラウンドの最終ホールでは、誤りを訂正する意思を宣言しないでグリーンを離れたときは)、競技失格となる。
 と書いてあります。ティーアップがスタートマークから少しはみ出ていてもプレーヤーはたぶん自覚していませんから、同伴者が知っていても黙っていた場合、次のホールへ向かうところではじめて「少し前へ出ていたぞ」と注意したら失格が確定します。ですから「そのときに言ってくれれば親切なのに」ということになります。

 ティーグランドで打ち終わってから注意すれば2打の罰です。それでも「打つ前に教えてくれれば」ということになります。注意してあげるのは親切心であって、逆に「あいつは五月蠅くて嫌な奴」と思われるのを嫌って黙認したことが結果的に不親切にもなる場合があるわけで、平素から「間違いを指摘してあげるのが親切」と心得てください。

 ここで問題です。ティインググラウンドの外からプレーした場合、正しい位置から打つのは3打目でしょうか、4打目でしょうか?
 すなわちマークから少しはみだして打った一打は計算に入れるか、入れないかです。

 競技者がティインググラウンドの外からプレーしたストロークと、そのあと誤りを訂正するまでの間のストローク数は競技者のスコアに入れない。

と規則に明記されました。同伴者は不正打球を指摘せず、ピンそばにパーオンしてから指摘すれば、それまでに打った2ストロークは計算されず、ティインググラウンドへ戻って第3打を打ち直すのです。プライベート競技なら「4オンにしておこう」となるでしょうけど、公式競技でそれは許されないのです。

次に、プレーについての規則の変更を一つ例示しておきます。

 ストロークプレー競技当日のラウンドやプレーオフ前に、競技者は競技の行われるコース上で練習したり、グリーン上で球を転がしたり、グリーン面をこすったり引っ掻いたりしてそのコースのグリーン面をテストしてはならない。

例外: ラウンドやプレーオフのスタート前に、最初のティインググラウンド上やその近くでパッティングやチッピングの練習をすることは許される。(規則7−1b)

 競技の行われるコースでの練習はしてはいけないのですが、当然練習場や練習グリーンならば構わないのです。例外としてコースでは球を打って練習できないけれども、ラウンドの前ならば、ティインググラウンド上やその近くでパッティングやチッピングの練習をすることは許されると明示されました。

 しかし途中のホールではティインググラウンド上やその近くで球を置いて練習をすることは許されないのです。違反は2打の罰です。