G・エドワード・グリフィンの『マネーを生みだす怪物』(吉田利子訳)には、アメリカの連邦準備制度を容赦なく批判しているやや通俗的な物語であります。原題は、THE CREATURE FROM JEKYLL ISLAND (ジキル島でうまれたもの)ですが、その謂れは本書を見れば一目瞭然です。しかし今夜は、本書の「はじめに」で、のっけから”銀行って何だろう”という問題をQ&Aの形で始めています。かなり長い質問と答えが連綿と続きます(英国のユーモア雑誌「パンチ」からの引用です)。文意を損なわない程度に要約して以下に掲げてみましょう。それでも長すぎる?
Q: (銀行の広告に)資産5億ドルとも書いてあるけれど、これも儲けたお金?
A: 正確に言うとちょっと違う。それは金儲けのために使ったお金。
Q: なるほど。それでその資産はどこかの金庫にしまってあるんだね?
A: いやいや、とんでもない。それはお客に貸したお金。
Q: それじゃ、銀行にはない?
A: 銀行にはない。
Q: それで「資産」と言えるのかい?
A: つまり、返してもらえれば資産になるのさ。
Q: だが、銀行も金庫に金をもっているはずだろ?
A: そう、ふつうは5億ドルくらいはもっている。それは「負債」と呼ばれる。
Q: 銀行の金なのに、どうして「負債」なんだい?
A: 銀行の持ち金じゃないんだよ。
Q: それじゃ、どうして銀行にあるの?
A: お客に借りているんだ。
Q: すると、客が銀行に金を貸しているわけか?
A: ほんとうはそうだ。客は口座に金を預ける、つまり銀行に貸しているわけ。
Q: それで、銀行は借りた金をどうするの?
A: 他の客に貸す。
Q: でも、他の客に貸した金は「資産」だと言っただろう?
A: そのとおり。
Q: すると、「資産」と「負債」は同じもの?
A: そういうわけでもない。
Q: だけど、いまそう言ったじゃないか。もし、わたしが自分の口座に100ドル入れれば、銀行はそれを払い戻さなければいけない。だから、それは「負債」だ。ところが、銀行がその金を誰かに貸すと、今度は借り手がそれをかえさなければいけないから、銀行にとっては「資産」だ。でも結局は同じ100ドルだろ?
A: そりゃそうだが・・・・・・
こうしたパロディがずっと続きます。でも長くなるから途中をカットして続きを次夜にいたしましょう。
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