確かに中国の対外開放は著しく市場経済化を招き、それによって経済の活性化、文化の交流を招いたことは事実でしょう。シンセンを初めとする 3つの経済特区、沿岸部18の都市に設けた経済技術開発区は外資に対してさまざまな特権を付与した特別地域であります。しかし、これらの外資(FDI=foreign direct investment)は、中国の低賃金と国内市場への期待とにありました。だが、中国側から見れば、外資による貢献は、
@ 国内産業に対する波及効果が限られている。
A 技術移転に役立ってはいない。
ことが指摘されています。しかも一見どれほど対外開放が華やかに見えようとも中国13億人の一部でしかありません。中国の対外開放は自由貿易ではなく開発主義の一環なのです。とするならば中国体制移行のあり方は、漸進主義的アプローチに求めること、でしょう。中兼氏は、マレル(P.Murrel)より以下の図式を引いて、中国は漸進主義をとったと述べています。