もう今の経済には通用しなくなったジョークがあります。ソ連経済が存在していた頃のこと。
革命が成功し完了した暁には社会主義国はどのようにして価格、たとえば貿易価格を決めるのだろうか、という質問に、ソ連のエコノミストはウィンクしながら、「そのために、われわれは一国を資本主義国として残しておくつもりだ」と答えたそうです。
時代が変わって今日は社会主義国にも市場経済が積極的に導入されつつあります。成長著しい中国がそうですし、ここから「市場経済社会主義」などという呼び方がされるようになってきました。上のソ連のエコノミストが言ったジョークが生きた、つまり、もっと積極的に市場経済を導入しようとする動きのなかに「資本主義を残しておいてよかった」という彼らの皮肉が見られるのでしょうか。
他方、今日の資本主義の余りの無規律性に業を煮やす「ハテナ」は、逆説的に言って、どこかに模範的な社会主義国を残しておいても良かったかな、と思うほどです。これほど滅茶滅茶な、バラバラな、節度のない資本主義の今日の姿を見るからであります。