『ああ無情』に引っ掛けてデリバティブの世界を覗いてみましょう。すこし(いや大分)資料は古いのですが、世界でどんなにお金が回りまわっているかについての引用です*。
現代の銀行システムは、もはやオックスフォードやハーバード出身のきまじめな人達が営しているわけではない。莫大な賭け金をもって、世界最大のカジノの席についている28歳かそこらのディーラー達の意のままになっているのだ。
金融デリバティブは、1970年代初期にスタートし、96年には54兆ドルの産業にまで成長した。1ドル紙幣をつなぎ合わせると、地球から太陽まで66回行き交うほどの量だ。地球から月までの距離でいえば2万5900回、英国の経済規模の約60倍、米国と日本を合わせた経済規模の6倍にも達する。また、世界のすべての株式市場と債券市場の合計の何倍にも及ぶ・・・・・・。
デリバティブは、原子力のようなものだ。すべてがうまくいっている間は、原子力のメリットは図り知れない。クリーンで安い電力を供給してくれ、生活は快適そのものだ。しかし、活用を誤れば、チェルノブイリ原発事故級の想像を絶するほどの恐ろしい事態を招く。デリバティブもこれと同じで、予想もつかないような金融大惨事を引き起こす可能性を秘めているのだ。
アメリカで1970年代から研究開発されたこのデリバティブは、日本ではニクソンショック(1971年)直後の頃。そのころデリバティブの名を知っていた人はいたっけ?