前夜からの続き

第31夜から第35夜まで

第31夜 - 偉大な教師とは

”ピーターの法則”のなかに、こんな素晴らしい名句に出会いました。

凡庸な教師はしゃべる。よい教師は説明する。すぐれた教師は示す。偉大な教師は心に火をつける。

偉大はもちろん、優れてもいず、良いともとも決して言えない、ハテナ博士のおしゃべりは完全に失敗かしら?それでもこのページを見てくださる方々にはその忍耐力にただただ感謝あるのみです。

(L.J.ピーター『こんなことがなぜ起こる』より)

第32夜 -パーキンソンの会議の法則

前夜に引き続きピーターの本からの引用です。が、今度はパーキンソンの法則の一部です。

”仕事は完成のために許容された時間のある限り膨張する”と言って次のような皮肉たっぷりの例を挙げています。

20人の委員会は討論に明け暮れ、10人の委員会は時おり決定をくだしもするが、たいていの仕事をするのは1人の委員会だ。

おじゃべりの序にピーターの法則をもう一つ。

間違いを犯すのを避ける道は、経験を積むことであり、経験を積む道は、間違いを恐れないことである。

これってどうなっているの???

(L.J.ピーター『こんなことがなぜ起こる』より)

第33夜 - フリードマン教授の皮肉

ミルトン・フリードマンといえば、常に意表をつく経済理論や諫言、ジョークで知られる話題の経済学者ですね。かつて株式投資の必勝法なるものを実践しようとして恩師のフランク・ナイトから破門されたり、最近ではデフレ解消のためには空からお札を撒けばよい(ヘリコプター理論)などといって人々を煙に巻くことのうまい人です。そのフリードマンがノーベル経済学賞を授賞したときの言葉があります。

経済学者としての私の人生は、大いなる喜びと満足の源であった。それはすばらしい学問である。経済学をかくもすばらしくさせているものとは、その基本原理が非常に簡単で、一頁で記述しうるし、誰でも理解しうる。それでいてほとんどの人が理解していないという点なのである。

うーん・・・出来るだけ短い文章で書こうとしているハテナ博士は本当は何にも知らないんじゃないの!?!?

(ウィリアム・ブレイト、ロジャー・W.スペンサー編『経済学を変えた七人』より)

第34夜 -ピグマリオン効果

ウォータマンという人は末尾に掲げる本のなかで、こんな興味あることを書いています。少し長くなりますが、要点を引用してみましょう。

会社の長期的な改善は、ただ単に管理者が注目するだけでは達成できない。社員の能力を管理者が本心から信じ、それが相手に伝わって初めて達成できるのだ。信用できる期待は好結果を生む。だが嘘の期待、あるいはどうせできっこないという態度は、逆の結果を引き起こす。これを”ピグマリオン効果”と呼ぶ。

ここで、ピグマリオン効果の謂れをちょっと拝借。

ピグマリオンというのは、もともとは神話に出てくるキプロスの王様の名前。彼は彫刻を趣味としていたが、ある時自分で彫った象牙の女性像に恋をしてしまった。その像こそ、彼の理想の女性の姿そのものだった。彼はその像に生命を与えるよう、神に祈り続けた。そしてついにその祈りがビーナスの心を動かし、像は生きた女性の姿となって彼の前に現れた、とさ。

この話をもとに、バーナード・ショーは『ピグマリオン』という脚本を書きました。ヘンリー・ヒギンスという人が花売り娘イライザ・ドゥリトルにキングス・イングリッシュを教え、淑女に仕立て上げるという有名なストーリーです。

ピグマリオンの神話は、その底に次のテーマを含んでいるのです。それは、人の行為というのは相手の期待度を反映するというテーマです。教育においても仕事においても、何をどう期待するかによって結果に大きな違いが生まれるのです。言い換えれば、”人は自分に何を期待するかということと同時に、まわりから何を期待されているかによっても影響されがちだ”(ロバート・マートン)というわけです。わたしたちが抱くイメージを相手が信じてくれたとき、そのイメージは「自己達成」するというのです。

ちょっとややこしくなりましたが、ピグマリオンという言葉に出くわすことがあります。そのときそのさわりを思い出していただければ、ハテナ博士の”ピグマリン効果”は甚だ大きいと自己満足しています。

(R.H.ウォータマン『超優良企業は、革新する』より)

第35夜 - 一流とは何か

少し経営管理の物語が続きますが、ガマンして聞いてください。

一流の人間は一流の人間を雇い、二流の人間は三流の人間を雇う。もし、間違って一流が二流の人間を雇ったとすると、雇われた人は三流の人間にされてしまう。”

怖い話ですね。でもこれに似たようなことは今の社会にも存在しています。次の例は、業績の悪い部門を好転させるよう支持を受けた二人の管理職についての比較を示しています。まず管理職の「はてな」氏とそのスタッフは、問題のありかを探り、必要な改善を加えて、以前の水準にまで販売を立て直すのに多大の時間と労力を費やしました。クビ切りもなく、モラールも向上しました。もう一方の管理職の「ハテナ」氏は、まったく違うやり方をしました。まず大幅な人減らしを図り、生産ラインも削減しました。長期的な解決に投資するよりも、その製品の短期的売り上げ増しを図り、そして競争の激しい社内における自分の地位を安全なものにすることを狙ったのです。その結果、売り上げは倍増したものの、有能なスタッフの幾人かをクビにし、モラールも低下しました。

結果は、「ハテナ」氏は「はてな」氏よりも高い評価を得たのです。そんなバカなとお思いでしょうが、経営陣の目には、「ハテナ」氏のほうが根性があるから断固とした行動を起こし企業を成長に導いたと映ったのです。リストラの激しい今日の企業行動に何か似てませんか?それどころでない!企業の生き死ににかかわっているんだぞ?とお叱りを受けるかもしれませんが・・・・・・。

(参考:ロバート・E・ケリー『ゴールドカラー』より)

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