ノーベル賞物理学部門で授賞された小柴昌俊東京大学名誉教授は、授賞当時マスコミに答えて自分の大学時代はガリ勉タイプでなかったとして当時の成績表を公開した記事が載っておりました。
では経済学での英才ジョン・メイナード・ケインズの成績はどうだったのでしょう。学業成績ではなく彼がインド省へ入ったときの得点表について、本人のケインズが友人のリットン・ストレイチーへ宛てた手紙にて知ることができます。彼はこう認めております。
私の得点表が到着し、それは私を憤慨させた。本当の知識は、成功のためには全くの障害であるようだ。私が確実な知識を持っているわずか二つの科目ー数学と経済学ーで、私は最低の成績を取った。友よ、数学より英国史のほうが点が良かったのだー信じられるか?経済学の成績順位は低く、それは8位か9位〔実際には7位だった〕だったー私はどちらかの科目の試験についても、出題内容のすべてを実に精密に知っていたのだが。一方、全体でも2週間しか勉強に費やさなかった政治学では、私は楽に第1位の成績を取った。論理学と心理学と作文でも私は一番だった。
こうなるとどっちが受験者でどっちが試験官か判らなくなってしまいますよね。因みに総得点は6000点満点中3498点で第2席を獲得したという。(参考までに1位は3917点)。そのなかでケインズが最低点を取った科目はなんと経済学で600点満点中の256点でした。
しかしハテナ博士にとっては気になるのです。当時の英国(ケインズは1883年に生まれ1946年に没しました)の試験は難し過ぎるよ、と。6000点満点を100満点に換算するとケインズの成績は58.3点で日本の大学では落第点ではないの?
(参考書:スキデルスキー『ジョン・メイナード・ケインズ I 』裏切られた期待1883-1920年より)
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