舞台は英仏覇権闘争。ジョン・ロー(John Law 1671〜1792年)はそこで壮大な博打を打ちます。ローが考えたシステムは二つ。一つは「一般銀行」、もう一つは「ミシシッピ会社」。銀行は、不換紙幣を発行して納税に使えるようにしようとします。ミシシッピ会社は、当時仏領だった北米大陸ルイジアナのミシシッピ川流域での天然資源開発を請け負う会社。この開発会社は計画すらないペイパーカンパニーでありましたが、ローはこの会社の株価を高値に操作するためその株を銀行に買わせる。高値になった株式を担保にして銀行はさらに不換紙幣を発行する。この不換紙幣でもって更に株価を釣り上げるという操作を行います。そして銀行は次々に東インド会社やそのほかの国営企業をすべて傘下に収め、遂には王立銀行にまでなる。そして紙幣の流通を一手に握る。ところがルイジアナ開発を調査してみると、何の成果も出しておらず、結局失敗してしまうのでした。
このように悪名高いローのシステムではありましたが、今日でもなおジョン・ローが歴史に名を留めその研究が盛んなのは、ローが始めて紙のお札(紙幣)を発行し、不換紙幣による信用の操作を試みたということに求められるのです。その点では正に金融の革新であったからなのでした。
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