この計画は「インド会社」という名前で運営されることになりました。ローは当初この会社の発行済み株式総額1億2500万リーブルに対し、配当総額は5,000万リーブル、つまり年40%の投資収益率を予想しました。ところが、株式購入にはルイ太陽王時代に発行した国債でもよかったのでしたからその額面の2割で国債を購入し株式購入資金に当てました(今日でいうジャンク債ですね)。その結果投資に対する実質利回りは次のように驚くべき数字となったのです。
@投資資金10万リーブルで国債50万リーブルを取得 |
A50万リーブルで株式50万リーブルを払い込み→年配当予想額50万×40%=20万リーブル |
B投資に対する実質利回りは→A/@、即ち、20万÷10万=200% |
何と実質利回りが200% !!購入者は直ちに殺到しました。この風景をデンマーク生まれのラース・トゥヴェーデ(Lars Tvede)という人はこんな風に描いております。
”わずか4年前にはフランス中が絶望の淵に沈んでいたというのに、いまでは国全体が事実上歓喜と幸福感で沸き返っているのだ。・・・(中略)・・・パリはどこよりも沸騰していた。この時期、首都の人口は30万5000人も増加したと推計された。街路があまりの混雑のため、どの馬車もまったく動けないことがしばしばだった。パリがこれほどたくさんの美術品、家具や装飾品を世界中から輸入したことはかつてなかったことだ。それも貴族階級に限らず中産階級までだ。信用で株を買った者たちは、数千リーヴルが百万リーヴル以上にも増えることを突然発見した。フランス語の語彙に「百万長者」(millionaires)という新しい単語が加わったのはこのころのことだ。”
(参考:ラース・トゥヴェーデ『信用恐慌の謎』より)
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