円応寺(えんおうじ)

鎌倉市山ノ内1543

臨済宗建長寺派、新居山と号す
長2年(1250)創建、開山は智覚禅師

 

この寺の本堂は、閻魔堂あるいは十王堂とも呼ばれ、本尊として人が死後亡者となって冥界で出会う十王を祀っている。寺伝によれば、鎌倉時代の仏師運慶がある日病気により頓死の状態となり閻魔さまの前に引き出されたが、大王より「生前の物惜しみの罪により地獄に落ちるべきところであるが、汝が我が姿を彫像し、その姿を見た人々が悪行を成さず、善縁に趣くのであれば、汝を娑婆(しゃば)に戻してやろう。」といわれ、生き返った運慶はあの世で出会った閻魔大王の姿をひたすら彫り続け完成したのがこの寺の本尊である……と。なお、運慶が生き返った喜びで、笑いながら彫刻したため、閻魔さまが笑っているように見えるため、「笑い閻魔」と呼ばれている。

十王堂には国重文の閻魔大王像を中心に他の九王像が祀られ、参拝者に輪廻転生の戒めを語りかけてくれる。閻魔大王の国は仏のいない黄泉の国で、冥界の四王の取り調べの記録を閻魔帳と呼ぶ。この閻魔帳が閻魔大王に提出され、六道に生まれ変わる判断の材料となる。閻魔信仰を説く寺は、鎌倉ではこの寺と二階堂が中心のようである。

十王は亡者の生前の行いを調べる裁判官で、下記の王が裁くという。

「日時の経過」 「裁く仏」 「日時の経過」 裁く仏」
初七日 泰広王 二・七日 初江王
三・七日 宋帝王 四・七日 五官王
五・七日 閻魔大王  六・七日 変成王
七・七日(四九日) 泰山王 百ヶ日 平等王
一回忌 都市王 三回忌 五道転輪王

三回忌までに十王による裁判が厳しく執り行われ、死者に判決が下される。
その結果により五・七日(三十五日)の閻魔大王が亡者が地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の六道(六つの世界)の何処に生まれ変わるかを決定する。そして地獄、餓鬼、畜生、修羅の決定を受けた亡者も百ヶ日、一回忌、三回忌と供養をして貰えば総て極楽に行けると説く。そして、

「日時の経過」  「裁く仏」 「日時の経過」 「裁く仏」 
七回忌 蓮上王 十三回忌 抜苦
三十三回忌 慈恩王    

三十三回忌を以って死者は地上から離脱し、浄土への往生が出来るとの輪廻転生が十王信仰である。

北鎌倉駅から出発、北条氏ゆかりの古刹の拝観、季節の草木観賞そして、閻魔大王に「どんな裁きを受けることになるのかナ…。」などあの世のことを想像しながら歩いてきましたが、「鶴岡八幡宮」はすぐそこです。

鶴岡八幡宮の祭神をご存知ですか……。知らない方の方が多いと思います。別記の案内を参考に、鶴岡八幡宮を訪れてみましょう。

鶴岡八幡宮

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