虚空蔵菩薩堂(こくぞうぼさつどう)
鎌倉市坂ノ下18−28

真言律宗南都西大寺末
明鏡山圓満院星井寺


成就院が所有・管理している星井寺は、通称「虚空蔵菩薩堂」とよばれている。虚空蔵菩薩と星は近い関係にあり、大日如来の福智の二徳を司る仏といわれている。
天平時代に、諸国を歩いて民衆教化や社会事業を行っていた行基菩薩が、星空の夜に井戸の中に光を発した虚空蔵菩薩を見たことから、その姿を彫り堂を建立し本尊として安置したといわれている。虚空蔵とは、「虚空を蔵する」の意で広大な宇宙のような無限の智恵と慈悲を持った菩薩という.意味だそうで、密教でも重視される。

寺の縁起によると、「この菩薩像は、日本三虚空蔵のうちの一体で大変貴重な仏像であります。この菩薩は虚空がすべてのものを含蔵するように無量の福徳と知恵をそなえ、つねに人々にこれを与え、すべての願いごとを満足せしめて下さる仏様と云われ、そのお姿は、金色で容顔うるわしく、喜悦の相をなし、宝冠の上に五仏があり、左手には白蓮華を持ち、蓮華の上に如意宝珠があり、右手は五指を下げ掌を外に向けております。わが国では古くから福徳・知恵を授けられ、求聞持つの祈りに霊験がありとして、この菩薩の信仰が盛んにおこなわれてまいりました。‥‥」と。

源頼朝も虚空蔵菩薩像を秘仏として祟敬し、35年に一度だけ開帳したという。近代になってから、熱心な信仰者の願望により、毎年1月13日に開帳し「護摩供養」が盛大に行なわれている。この菩薩は、丑年と寅年生まれの人々の守り本尊といわれる。京都・大阪では、子供が13歳になると虚空蔵菩薩に知恵を授けていただくための「十三参り」の習慣がある。

本堂の左側に「舟守地蔵」が安置されている。海上安全・大漁満足・身宮安泰など船舶水に関係した事業に従事している人々に功徳を授け下さるといわれ、近郷・近在の人々に深く崇敬されてきたお地蔵さんである。










虚空蔵堂前に鎌倉十井の一つ「星の井」がある。この辺りは昼でも暗く、井戸を覗くと星が見えたといわれ、江戸期の紀行文や歌にこの井戸の名が出ている。昭和初期までは旅人にこの井戸水が売られていたという。井戸の右脇にある石柱には、「星の井」と、その右にある石碑には、「星月井」と刻まれてあり、「星月夜の井」とも呼ばれている。


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