弘安５年（１２８２）に時宗開祖の一遍上人と同じく、各地を遊行し踊り念仏を広めた一向俊聖上人か開山したひそやかな寺。江戸時代末期の文政９年（１８２６）に表門と本堂が再建されたが、本堂は関東大震災で全壊し、現在の本堂と庫裡は昭和初期に建てられたものである。

本堂に本尊の観音・勢至両菩薩を脇侍とする木造阿弥陀三尊像が祀られている。南北朝時代の作で、中尊の深く刻みこまれた衣文の線が美しといわれており、木造観世音菩薩像と共に寺宝となっている。

林不忘（ふぼう）のペンネームで「丹下左膳」などを書いた作家の長谷川海太郎が大正１５年（１９２６）にこの寺の一室を借りて新婚生活を送ったという。
その後中央公論社の特派員として夫婦でヨーロッパを旅行した旅行記は谷譲次著「新世界順礼」として同誌に連載され、後に「踊る地平線」の書名で単行本となった。帰国後に再び鎌倉に戻り材木座に住居を構えたが３５歳の若さで急死、お墓は妙本寺にある。

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