長 谷 寺(はせでら)

鎌倉市長谷3−11

浄土宗 海光山慈照院

(開基 藤原房前 開山 徳道上人)

坂東三十三観音および「鎌倉三十三観音第四番霊場

養老5年(721)に、徳道上人が一本の楠の木で二体の十一面観音を造り、木の元で造った像は大和の長谷寺に祀り、木の末で造った像を人々を救って下さいと海に流した。それから16年後の天平8年(736)6月18日夜に相模国三浦の長井浜に漂着し海上に光明を放ったという。その観音像をこの地に運んで徳道上人を招き、この寺を建立して本尊としたため「新長谷寺」とも呼ばれている。

境内は、上下に別れており、下の境内は、「放生池」と「妙智池」の二つの池がある回遊式庭園で、四季折々の花木が色を添えている。



(山門前にある椨(タブ)の古木)

境内の石段を上ると右に五葉松があり、上の境内に観音堂がある。堂内中央に、康永元年(1342)に足利尊氏が金箔を施し、足利義満が明徳3年(1392)に光背を納めたといわれる本尊の十一面観音菩薩、本尊の横には弘法大師像と徳道上人像が祀られてある。本尊は御丈3丈3寸(9.18m)で、右手に錫杖、左手に蓮華を差した華瓶を持つ独特な姿で、一般に「長谷式」と呼ばれ、地蔵・観音菩薩の力を兼ね備えた仏として熱心な信者が多い。

観音堂の右隣に、「南無阿弥陀仏」と唱えれば誰でも西方極楽浄土へ招いてくれるといわれる阿弥陀如来(像高約2.8m)を祀る阿弥陀堂がある。この像は源頼朝が自らの厄除けのために建立したもので、「厄除け如来」として崇拝者が多いという。

観音堂の左隣には、「鎌倉七福神」に指定されている大黒天を祀る「大黒堂」があり、堂内には触れてお参りができる大黒さまが安置され、正月は参拝者で賑わう。

奥には大地の恵みのような力を持つ仏といわれる地蔵菩薩を祀る地蔵堂や「輪蔵」(回転式の経蔵)の径堂がある。本堂の廊下を渡ると宝物殿があり、梵鐘、宝篋印塔陽刻板碑、阿弥陀種子板碑、鰐口、観音像などが展示されている。

石段を下って放生池に架かる橋を渡ると左側に弁財天を祀る弁天堂があり、その奥に弘法大師が篭もり修行したといわれる弁天窟がある。その中には弁財天に仕えそれぞれの衆生に福と知恵を与えてくれる従者の印鑰童子(心の鍵を解き心を明るくする神)、官帯童子(法を守る神)、筆硯童子(学問成就の神)、金財童子(商売の神)、稲籾童子(五穀豊穣の神)、計升童子(経理・経営の神)、飯櫃童子(食物の神)、衣装童子(衣服の神)、蚕養童子(養蚕の神)、酒泉童子(酒の神)、愛敬童子(愛情・恋愛の神)、生命童子(生命・長寿の神)、従者童子(経営の神)、牛馬童子(動物愛護の神)、船車童子(交通安全の神)、大黒天善財童子(童子のすべてを司る神)の16童子が祀られている。

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