魚河岸全体を眺めたい時は、道を隔てた19階のレストランの窓から、江戸軍艦操練所の跡地7万坪の「築地場内市場」が展望できる。
 水産物2400t、青果物1400t、肉類、花類の搬入・搬出はまるで勤勉な蟻の動きである。隅田川の護岸壁に造られた水路からの搬入口、続いて水産部卸売業者売り場、大物解体所、冷凍マグロの卸売り場、活魚卸売り場へと続いている。
 西端は海水を濾過滅菌した床洗浄用の浄水装置の施設,中央弓状の建物は、物流がトラック輸送に切り替えられた汐留からの貨車引込み線ホームの名残で、現在は水産物部仲卸業者売り場である。朝6時から8時までは、威勢のよい鮮魚のセリや相対売り8千人の従業員、1店舗当り7平米平均の空間は、築地市場の象徴でもある。その裏は3つの買荷保管所で方面別のトラック物流コーナーになっている。
 眼下の正門は新大橋通りの都営地下鉄駅に近く、その右手は青果門である。正門を入り左側に鮪の尾肉ステーキ屋や鮨屋などに客は並ぶ。一日2300台のトラックと築地の名物ターレー(イラスト参照:小回りの利く3輪運搬車)が走行し、一般客は危険と運行の邪魔にならないように、構内規則を守り前後左右の注意が必要である。
 この歴史ある魚河岸・場内市場も、「物流の排ガスCo2問題」「グローバル時代の対応」「産地、鮮度、品質、安全、情報、ITシステム化」「加工と包装の一貫性」「食文化の継承と発展」・・・といった時代のニーズから、豊洲へ移転する計画がある。昔から親しみ深い築地の魚河岸も、鮪の漁獲制限などグローバル時代の新たな魚河岸に変わろうとしている。(絵と文 竹内 晃)
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