第305夜で「コーヒーと経済学」と題してお話しましたが、その実例を一つお示ししましょう。広瀬隆氏によると、ロンドンのコーヒーハウスは、東インド貿易によって急激な発展をし、なかでもエドワード・ロイドが「ロイズ・コーヒーハウス」を開業して、貿易についてのニュースを伝える新聞の発行、ギャンブル、投機、郵便物の集配などあらゆるサービス業を行い、それが後に世界最大の「ロイズ保険」となったのでした。すなわち、1692年にロイドがロンバード街に店を移し、保険業を営んだからであります。たかがコービーハウスというなかれ、その世界的なロイズ財閥の発祥がここにあったのでした。