築地のJJK会館への道順を尋ねられると、最寄りの目標の一つは、白亜の新橋演舞場であろう。JJK会館の窓越しに見えるこの建物は、眼下の首都高速道路を跨ぐ采女橋を渡り、対岸に聳える地上17階・地下5階のビルである。1983年日産自動車本社ビル(新館)との複合ビルとして1階から3階までの客席1428席を含む新橋演舞場は、このビルの西南が正面入口で外壁を赤煉瓦風に、旧演舞場設計イメージを残して竣工、2005年更に新装された。
 新橋演舞場は新橋芸者たちの艶やかな「東をどり」披露の場と技芸向上を目的として関西に倣い発案された。関東大震災で中断し1925年に五業組合の協賛で株式会社が設立され、現在の地に1679人収容の赤煉瓦3階建てが新築された。1940年に松竹傘下の劇場となり東京空襲で被災し、復興し、今では歌舞伎・新派・ミュージカル・現代劇・スーパー歌舞伎などさまざまな興業で人気を拍している。
 日産自動車は2009年横浜開港150周年を期に、みなとみらいに地上150m33階の最新構造の自社ビルを新築し、築地から移転するそうである。(竹内晃)

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