立法・司法・行政の三権が分立していることが民主制議会の基本であるのは言うまでもないことですが、意外に各部門が明確に区分されているとは言い難いこともあります。例えば立法府はその役割を十分に果たしているでしょうか。何か事が起こると行政の対応の遅れに帰せられますが、そもそも立法府でやらなければならない職責を行政府が担っているかのような感を抱かせるように思われます。
最近面白い事例に出会いました。それはヒッグズという学者が当時の首相サッチャー(Margaret Thatcher)の言葉を引用しています。引用の背景は、コンピュータの出現によって情報の自由化を求める運動家たちに対して応えたものでありました。
私たちの憲法の下では、大臣たちは議会に対して責任があります。(一部省略)法的アクセス権については・・・法廷に対する究極の決定に移されます・・・諸大臣の議会に対する説明責任はそれゆえ減少されます。さらに議会そのものさえ軽減されます。・・・私はあなた方のキャンペーン運動が示すような大きな憲法上の変化は、適切でもなく必要でもないと固く信じます。
三権分立について見事なまでの明確な考え方がそこには含まれていると「ハテナ」には思われ、さすがイギリス議会制民主主義、そしてサッチャーさんの確固とした信念に感心しました。
(Edward Higgs The Information State in England The Central Collection of
Information on Citizens since 1500 (2004) )
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